南米をひた走るバスの窓から、どこまでも続く地平線に太陽が溶けていくのを眺めていた。
インドではその窓が列車に変わり、果てしない荒野に人が姿を消していった。
彼らはどこに向かっているのだろうか。
そしてぼくはどこに向かっているのだろうか。
2012年3月19日
当時21歳のぼくは期待90%、不安10%の中、世界一周の旅に出かけた。
九州の平凡な国立大学でまたごく平凡に3年間を過ごした僕が2年間の休学を選択した。
インドのじじいに「お前は何者だ」と問われ「おれは地球人だ」と言えるような人間になりたい。
すごく抽象的ではあるが、旅に出る前、ぼくの胸の中でガンガン鳴っていた言葉である。
まさにこの時の自分は「自分探し」をしていたんだなと今気付く。
自分探し何て日本に居てもできるじゃないか。
同じように、語学もボランティアもどうして海外でやらなくちゃいけないの。
そうですよ、あなたの言ってる通りです。
就活からの逃げと言われても否定できません。
でも、ぼくはそういう批判を受け止める。
海外行ってみたい、世界一周してみたい、これって夢見る人結構多いと思う。
だけどぼくは欲張りだった。
旅もしたい、自分探しもしたい、就活からも逃げたい。
結果的にあの時の自分の気持ちを整理するとこれだった。
そして、これらのことをあの時の自分は全力で考えていた。
それは良いことも悪いことも。
逃げること自体悪いとは思わないが、あの時のぼくは一度も就活というものと戦わずして逃げたので悪いことだと思っている。
今、ぼくはその自分を良いも悪いも含めて肯定的にとらえることができる。
それは時が経ったからではない。
自分の未来何てどうなるかわかる人はいない。
未来の自分に批判させないように、過去の自分を肯定できるように、今を全力で生きる。
極論だけど、これしか今ぼく達ができることはない。
「休学して旅している大学生」
旅しているときはこのレッテルが付いて回った。
登山メーカーのバックパックを背中に、サブバックを前に持って各地を転々としている。
小さくて薄いノートパソコンやiPhoneを使って宿でWiFiに繋いではネットで情報を集めたり、SNSで日本の友達と連絡を取っている。
東南アジアでゆっくりしながら旅に慣れ、インドで文化の違いを楽しんだり戸惑ったり、ヨーロッパでは貧乏旅行をして、中東で宗教を考え、アフリカや南米で地球のでかさに感動して帰ってくる。
その期間、日本を思い、懐かしむ。
ぼくはこの様な普通の今時の大学生バックパッカーだった。
普通すぎて、途中かなり悩んだ。
その場で感じることは人それぞれで、同じような恰好や旅のルートをしていようと、その人のぼくのオンリー1の旅であったことに間違いない。
中でも山登りに関してはぼくの中で大きく芽生えたものがあった。
きっと種はあった。
自然、とくに山の中に自分の身を置くことで気付くことの多さには自分でもびっくりした。
それは考え方であり本音であったりした。
無念の登頂失敗したボリビアのワイナポトシでは、高山病と悪天候で死の恐怖さえも覚えながら、もっとも自分の心の本音に怯えていた。
それがとても汚く卑しいものだったから。
最低や最高の自分の本当の姿と対面するには、極限の状況、限界に自分の身を置くことが手っ取り早い手段だということを知った。
それらが癖になって南米では山にばかり行っていた。
もちろん山の景色はそういうごちゃごちゃした気持ち全て一旦おいて、最高のものである。
まぁただの趣味だが生きる軸、楽しみみたいなのが見つかった。
山と並ぶかそれ以上の興味を抱いていること
日本、にっぽん、JAPAN
これほど旅に出て海外にいながら日本を意識するとは思っていなかった。
日本人はみんな知っている。
日本が1番だということ。
知っているけど当たり前。
その当たり前が、大好きな国を透明にしている。
外に出て初めて気付く日本がたくさんあった。
旅をして、世界のあまりの広さに驚き、たかが1年世界一周した程度で世界を知ったように語ることはぼくにはできない。
だからこそ、その世界を知るため日本を改めて知る。
そして、これが世界を知る1歩目なんだ。
やっと1歩目が踏み出せる。
世界一周の旅は過去となった。
しかし間違いなく人生で一番充実していたこの1年は土台となった。
旅は目的であって、手段であってはならない。
旅がしたいという気持ちだけで、世界を見れたらどれだけの発見があるだろう。
そんなの今のぼくには無理だよ。
欲張るよ。
ぼくは旅人であり大学生だから。
そして旅が過去となった今は旅を手段として思いっきり成長してやる。
それがごちゃごちゃモヤモヤ悩んで旅してたぼくを肯定してあげること。
まだ休学期間は5か月残っている、やりたいことやらなければならないことはたくさんある、それを全力でやるだけ、あの時に比べれば全然easyだよ。
実家に帰省した時、旅の終わりの安堵感と一緒に生まれた感情
旅してよかった
最高に楽しかった
ありがとう、地球!
これで、世界一周のブログは終了します。
ふざけた自己満の記事ばかりでしたが、何とかラストまで書き上げることができたのも、だれか少数でも読んでくれる人がいたからです。
タイトルがあんななんで、また旅ブログでなくても書きに来ることがあるかもしれません。
世界一周の旅においていろいろお世話になった方、本当にありがとうございました。
また世界のどこかで会えることを楽しみにしています。
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